「人類哲学序説 梅原猛」を読んで日本の良さを再認識してみよう
my本棚82冊目は哲学者、梅原猛さんの本です。ふと哲学の本を読んでみようかなと思い立ち、この本を手に取りました。
この本は、著者が大学で行なった講義をもとに加筆修正して書籍化したものとなっています。著者は1925年生まれということでご高齢ではありますが、今だなお現役で活動されている様です。
氏はまだ若いころに西洋哲学を研究した後、40代からは日本文化に傾倒したそうです。本著は日本文化の立場から西洋哲学を批判していくという独自の視点で書かれた内容になっています。
梅原さんは本の中で、科学技術文明を生んだ西洋諸国、ひいては西洋哲学には誤りがあるのではないかと批判しています。
自然を征服することは大変難しいことであったにもかかわらず、デカルト哲学のおかげで人類は自然を征服することができた、と言っていいでしょう。しかし、征服した今、その征服がやがて人類そのものを滅ぼす危険性を持っていることが明らかになってきたのです。
このような時代に、生けとし生けるものすべてと共存する哲学が、人類の哲学の根本にならなければならない、と強く思います。その人類哲学こそが「草木国土悉皆成仏」の思想であると確信しています。
「草木国土悉皆成仏(そうもくこくどしっかいじょうぶつ)」とはどういう意味でしょうか。
天台宗においては、すべての人間には仏性があるものとされます。仏性とは仏になれる性質です。誰もが仏性を持っているから、誰もが救われ、誰もが仏になれる、という思想です。(中略)真言宗には、草木も仏性を持ち成仏ができるという思想、「草木国土悉皆成仏」の思想があるのです。(中略)動物の成仏は当然で、草木さえ成仏します。これは、生きているものの中心として植物を考える、という思想だと思います。さらに、草木ばかりでなく、国土までもが成仏できる、と言うのです。
哲学系の本を読みなれていない私にとっては内容を把握するのが大変で、うまく要約ができないのですが、きわめて私的にかいつまんで説明するなら、人類第一で利己的な西洋哲学よりも、動植物や生き物意外にも魂が宿っているとする日本的な思想が秀でているといったお考えなのではないかと思います。そのため著者は、ユダヤ教やキリスト教といった一神教を批判し、仏教や神道といった多神教を支持しているようです。
この本を読んだだけではまだまだ哲学の「て」の字も語れないかと思うので、もう少し趣向の違う哲学書も読んでみて、学んでいこうと思います~。