備忘録的 本棚ブログ

読んだ本の感想や書評を備忘録的に書いていきます。本棚の様に積み上げていくつもりです。

「拡張するテレビ 境治」を読んだら業界への光が見えた

拡張するテレビ ― 広告と動画とコンテンツビジネスの未来 ― (宣伝会議 実践と応用シリーズ)

 

my本棚53冊目はメディアコンサルタントでテレビやネットメディアに詳しい境治さんの本です。
若者のテレビ離れと言われて久しいですが、確かに私もニュースと一部の気になったドラマを見る程度で、何となくテレビを見ることはかなり少なくなりました。

 

しかしまえがきにも書いてあるのですが、「テレビ」とは番組のことだったりテレビ局のことだったり、はたまた受像機そのものだったりと、定義が無くあいまいなものなんですよね。

これまではこの3つが結びついていましたが、今はスマホでも番組は視聴できますし、反対に受像機でインターネットを使う人もいます。

 

この辺を整理していけるかどうかが、テレビが衰退するのか拡張するのかの鍵となりそうです。
この本を読めば、テレビの過去・現在・未来を把握することができます。

 

 

世の中の流れに全然ついて行っていない私がなくのも恐縮ですが、動画コンテンツやサービスってすごく増えている様です。

huluNetflixといった定額制で見放題の動画サービスが日本にも進出してきて、いつでもどこでも海外のドラマや過去のアニメなど自分の好きな映像を見ることができるようになりました。

本書ではまず上に挙げたようなVOD(Video On Demand)の歴史や、その波に負けじとテレビ局がインターネットに番組を配信していく様子を振り返ります。

 

また、ツイキャスLINE LIVEといったスマホを使ったライブ配信サービスや、配信とテレビが融合したようなAbemaTVの概要、さらにTwitterといったソーシャルとテレビの関係にも触れられています。

 

この本を読んでいくと気付かされるのが、テレビが今後衰退するのではなく、先に挙げた番組(コンテンツ)やテレビ局(放送・制作)が今後ネット社会に合わせて否応なく変化していくだろうということです。

 

確かに今後はただテレビの前に座って番組をじっと見てくれる人は少なくなるでしょうが、単純に動画コンテンツとしての番組は面白ければ、既存のテレビであろうとスマホであろうと視聴する人はいるでしょう。

また、テレビ局もビジネスモデルを柔軟に変化させることができれば、もともと持っている資金や番組制作能力は大きなものを持っているのですから、まだまだ勝負できるところは多いのではないでしょうか。

 

特に低迷しているフジテレビにおいても、視聴率というひとつしかないモノサシで計るより、配信による若年層への認知度アップやマネタイズなどの戦略がハマれば突破口が見えてくると著者も、エールを送っています。

テレビ業界には暗雲がたちこめている様に見えていましたが、どうやら希望の光も指している様です。
業界の方やテレビ好きの方にぜひ読んでみて頂きたいです。