備忘録的 本棚ブログ

読んだ本の感想や書評を備忘録的に書いていきます。本棚の様に積み上げていくつもりです。

「職業としての小説家 村上春樹」を読んだらランニングが捗るよ

職業としての小説家 (Switch library)

 

my本棚40冊目は世界中で作品がヒットしている村上春樹さんの本です。
氏についてはもはや説明不要ですよね。
あまりにも有名過ぎてアンチの方も多いため、実生活ではあまり公言しにくいのですが、私は村上さんの小説が大・大・大好きです。

ただ今回紹介する本は、村上さんが自分のことについて書いた本になっています。
小説を書くことについてや、小説家とはどういうものかなど、独自の視点で語られています。
私の様なファン(「村上主義者」なんて言い方をするらしいですよ)だけでなく、小説が好きな全ての人におすすめの本です。

 

この本で私が好きなエピソードのひとつは著者が小説家になった頃の話です。
著者は30歳近くまで飲食店を営んでいたのですが、ある日野球を見に行って、ヒットが出た瞬間に小説を書いてみようと思いついたのだとか。

その帰りに原稿用紙と万年筆を買って、半年間かけて書いた小説が「風の歌を聴け」という小説で、群像新人文学賞を受賞しています。

著者曰く、ヒットが出た瞬間に「啓示」「エピファニーepiphany)」を感じたそうです。
とても素敵なことだと読んでいて思いました。自分にもこんなことが起きて、ブログを皆に見てもらえるようになればいいんですがw

 

また、著者が熱心にランニングに取り組んでいるのは(ファンの中では)有名だと思うのですが、なぜ走るのかということについても詳しく書かれています。

一言で現わすと小説を書くのにも体力が必要だから、ということになるのだと思いますが、小説というものを書くのは想像を超えて厳しい作業なのだということがこの本を読んでいると感じさせられます。

そんな厳しい作業に耐えるには、ランニングを通じて肉体と精神を鍛える必要があるのでしょう。そしてそれは小説を書くことだけに限らず、何かを成し遂げるのにあたって必要なことかも知れませんね。

僕が思うに、混沌というものは誰の心にも存在するものです。(中略)そしてそれを忠実に誠実に言語化するためにあなたに必要とされるのは、 寡黙な集中力であり、挫けることのない持続力であり、あるポイントまでは堅固に制度化された意識です。そしてそのような資質をコンスタントに維持するために必要とされるのは身体力です。

 この引用部分は印象的です。文章に無駄がなく、それでいてリズムがよく、説得力がありますよね。

私も筋トレや有酸素運動を日常的に取り入れていますが、モチベーションを保てないときもちょくちょくあります。でもそんな時は村上さんの文章を思い出しています。

そういった意味では、ランニングをしている人にとってもぜひ読んでもらいたい本ですね!

 

職業としての小説家 (Switch library)

職業としての小説家 (Switch library)