備忘録的 本棚ブログ

読んだ本の感想や書評を備忘録的に書いていきます。本棚の様に積み上げていくつもりです。

本当に価値がある情報は「言ってはいけない 橘玲」

言ってはいけない 残酷すぎる真実 (新潮新書)

 

my本棚52冊目は私の中で「本質を突く達人」である橘玲さんの本です。
今年最もヒットしている本のひとつではないでしょうか。
本屋さんに行くと大抵目立つ位置に並んでいて、前から読みたいと思っていましたがようやく読めました。

以前にも別の本を記事にしましたが、本当に橘さんは気持ちが良いくらい真実をバシッと書いてくれます。

特に今回の本はタイトル通り、みんな無意識に気づいてはいるけど口に出さない、もしくは無意識過ぎてその残酷な行為に気づいていないことを、データを元に紹介してくれます。

 

著者がまえがきにこれは不愉快な本だから気分よく一日を終えたい人は読まない方がいいと書くレベルの衝撃的な事実が書いてありますが、得てして現実というのは目をそむけたくなるものなのでしょう。
そむけずに読んでみれば、世界が変わりますよ!

 

今回の本には分子遺伝学や脳科学ゲーム理論やコンピュータの発達による「現代の進化論」が主張している見解が紹介されています。

いきなり結論を簡潔に書いてしまうと、

①依存症や犯罪は遺伝する
②容姿による(経済的な)格差がある
③子育ては子供の成長に無関係

以上のことが、研究による証拠と共に語られています。
どの結論も、そんなことはない!と怒りながら否定されてしまいそうな内容ですが、読んでみると、そうなのか~確かにそうかもな…と納得させられます。

 

とくに私が驚いたのは、多様な実験から得られた「ひとは外見だけで見ず知らずの人間や知性を判断できる」という結果です。
よく見た目が大事、第一印象が大事とは言われますが、本当にその通りだということです。
逆に言えば、中身、内容をどれだけ良くするかよりも、ぱっと見の外見を良くする方に力を入れた方が成果が上がるということになります。

 

このように、不愉快な真実を知ることはその対策ができるという上で重要になります。
がんばっても成果が出ないのは自分の努力不足ではなく、不愉快な真実のせいかもしれないからです。

「君は不細工だからお金持ちの人とは結婚できないよ。貧乏だけど優しい人と結婚した方が幸せになれるよ」なんて誰も言ってくれません。
例え本当のことで、その助言により相手が幸せになるのだとしても、それを言って得することはないだろうからです。

 

しかし、誰も言ってくれないことこそが本当に価値のある情報なのです。
一年後の株価なんて誰にもわかりませんが、それをはっきりわからないと言ってしまったら証券会社は儲かりません。

はっきり本質を突いてくれる橘さんの様な人は稀有な存在だと思います。
ぜひ読んでみて下さい。

 

言ってはいけない 残酷すぎる真実 (新潮新書)

言ってはいけない 残酷すぎる真実 (新潮新書)