備忘録的 本棚ブログ

読んだ本の感想や書評を備忘録的に書いていきます。本棚の様に積み上げていくつもりです。

当たり前だけど皆気づいていない『投資は「きれいごと」で成功する 新井和宏』

投資は「きれいごと」で成功する――「あたたかい金融」で日本一をとった鎌倉投信の非常識な投資のルール

 

my本棚42冊目は今までの投資のイメージを大きく変えてくれるような本です。
著者の新井さんはNHKのプロフェッショナルという番組の取材を受けた人物ですから、並みのファンドマネージャーではありません。

実際、私もこの番組を見たことがきっかけでこの本を買い、鎌倉投信を積み立てしています。

以前このブログで山崎元さんの本を取り上げた時も、日本人はお金や投資に関する勉強や教育をしていないから、知識もないしイメージも良くないと書きましたが、この本を読んでみれば、投資はただのお金儲けの手段じゃないってことがわかると思います。

 

著者が運営している鎌倉投信は、一言で言えば利益だけを追い求めず、社会的意義を果たす「いい会社」に投資することで、社会貢献を行なっています。

どこから今までの投資の概念を覆すような理念が生まれたのか?その答えがこの本に書いてあります。

 

著者の新井さんは鎌倉投信を運営するより前、日本や海外の運用会社で働き、約10兆円もの額を運用されていたそうです。

しかし、その天文学的とも言える額のお金を運用するということに多大なストレスを感じ、病気になってしまいました。

そんなとき、著者がふと手に取った「日本でいちばん大切にしたい会社」という本を読んで、世の中にはお金や利益よりも大切なものがあると気付かされたのです。

日本でいちばん大切にしたい会社

その経験から、「投資は科学」というロジカルな運用スタイルから「投資はまごころ」という正反対のアナログな運用スタイルに理念が180°変わったのだとか。

 

そんな新井さんの運用方針は、財務諸表といった数字とにらめっこするものなどではないようです。
実際に企業に足を運び、そこで働いている方々の話を聞いて、その会社が社員と世の中を幸せにしているかという観点から、投資を行なうかどうか決めています。

そして、新井さんが運用を行なうための資金は、その新井さんの理念に賛同した人達です。

つまり、「社会貢献している会社」「投資して貢献する運用会社」「資金面で支える投資家」がいるという、三位一体の関係ができあがっています。
この関係って、とても素敵で理想的だと思いませんか。

 

じっと株価を見て下がったら買い、上がったら売る…。もちろん悪いことをしているわけではありませんが、どこか健全ではない。
そういった投資のイメージからはかけ離れています。でも、もともと投資ってGIVEの精神で行なうものですよね。

そんな当たり前のことに気づかせてくれる良書です。ぜひ読んで、投資の世界に足を踏み入れてみてください。