【119冊目】独自のヒットを生み出したいなら「ニコニコ哲学 川上量生の胸のうち」を読んでみよう
my本棚119冊目は先日も当ブログで紹介した川上量生(のぶお)さんの本です。ウェブメディアcakes(ケイクス)を運営している加藤貞顕さんが川上さんにインタビューした内容がまとめられた1冊となっています。
↑の本を読んで今更ですがすっかり川上さんのファンになってしまったので、このインタビュー本も読んでみました。川上さんの映像をみると、実年齢よりも若々しいですし、語り口も軽妙なんですが、よくよく聞いていると非常に論理的で独自の考えをお持ちなので、勉強になることが多いです。
読んでいると珍エピソードがたくさん出てくるのでおもしろいです。例えばニコニコ動画では決まった時間に突然画面が真っ暗になって〇時だよと教えてくれる時報のシステムが(今もまだあるのかな?)があったんですが、これもおもしろいかなというイタズラ心みたいなものから生まれたのだとか。ジャマとかウザいとか言われることでかえって話題になるほか、それぞれ場所は違っていてもリアルタイムで動画を見ているという一体感を出ることを著者はやり始めてから気づいたそうです。
そして特に印象的なのが、オープンになるほど多様性は減るという主張です。ニコニコ動画のようにだれでも簡単に作品を発表できるようになると、よりクリエイティブになるのではと思いがちですが違うのだとか。
川上 たとえば、「小説家になろう」っていう小説投稿サイトがあるんですけど、そのランキング上位の小説の設定がほとんど一緒になってたりするんですよ。だいたい転生もので、主人公が生まれ変わって、別の人生を歩んで、活躍するっていうストーリーです(笑)
ーー ユーザーの願望が(笑)
川上 投稿されている小説には本来多様性があるはずなんだけど、ランキング上位に来るものは全部似たようなものになる。ニコ動だって、いろいろな作品が投稿されていますが、何かが流行るとそれ一色になりがちです。参加数が多いってことは、逆に実質的な多様性を減らす効果があるんです。
確かにテレビも局は違えど同じ時間帯に同じような番組をやりますし、多数の人に受け入れられるものを、皆がこぞって作る構造はどんなコンテンツでも変わらないのかなという気がしました。
↑の本でも、なぜライバル同士の家電量販店などが街中の近い場所に出店するのかを経済学の視点からひも解いています。
ブログもおそらく例外ではなくて、PV数を狙っている(私も狙っているわけではありますが)感がタイトルからヒシヒシと伝わってくるものが散見されます。実際そういうウケるタイトルの記事がたくさん読まれているのだろうと思いますが、どうもひねくれ者の私としては徹しきれないものもあります。
どうせ目指すなら川上さんのように、独自の視点からマネのできないヒット作を生み出したいものです。そんなわけで、川上さんの思考に触れられるこの本をぜひ読んでみてください!