備忘録的 本棚ブログ

読んだ本の感想や書評を備忘録的に書いていきます。本棚の様に積み上げていくつもりです。

【118冊目】コーヒー一杯分の値段で最先端のネットメディア情勢がわかる「新しいメディアの教科書 佐々木俊尚」

新しいメディアの教科書 (Kindle Single)

my本棚118冊目はジャーナリストの佐々木俊尚さんの新刊です。こちらの本は紙の書籍では出版されていなく、kindleのみの取り扱いとなっているようです。著者が発行しているメールマガジンの内容を再構成したものの様で、199円とお求めやすい価格になっているのがうれしいですね。

近年ネットメディアで起こっている変化を、アメリカの事例を用いて紹介し、その波が日本へも波及してくるだろうと推測しているのがこの本のざっくりとした内容になります。細々とですがこうしてブログを書くことでメディアに携わっている(気分になっているだけ)者として、大変参考になる内容でした。

 

本書は五章にわかれた構成になっていて、第一章はネット広告という「原罪」について書かれています。広告がもともと出し手と掲載者、消費者の三方が利を得ていたものだったのに対し、ネット広告が不快なものとなってしまっている状況が解説されています。

確かにスマホを見ていても広告はジャマなものという意識があり、良いイメージを持たれていません。そこにはPV数やクリック率といった数字の評価しか存在していなく、人心はないがしろにされています。

そして、数字が求められる世界でアップルはiPhoneの普及率を生かし、Facebookは自社SNSの利用率を生かし、Googleは検索システムや自社ブラウザの定着率を生かしてコンテンツを供給し、広告費を得る戦国時代となっているのです。

 

そんな中、第二章ではバズフィードが狙う「新しい垂直統合」というテーマが書かれています。新興メディアであるバズフィードは、FacebookGoogleといった巨大プラットフォームに対抗するため、コンテンツをどのようなメディアにどのような方法で届けるのがよいか可視化しようとしています。それが可視化できれば広告も的確に表示することができ、広告へのネガティブなイメージも払しょくされるはずです。

 

そしてひとつ飛ばして第四章にはコンテンツの革命も起き始めていることが書かれています。これまでのコンテンツはクリックベイト(読者についクリックさせてしまう)が問題視されていました。いわゆる「釣りタイトル」で記事を読ませたくするテクニックですが、最近はPV数に比べ反応が薄い記事の評価を下げ、反対にPV数が少なくともシェア数など反応がよかった記事の評価を上げるといった施策がとられているようです。

 

私が今こうして書いているブログひとつとっても、メディアとしての立ち位置はめまぐるしく変わっていっているように感じます。ただ大切なのは、著者も解説している通り、人々のためになるという目線から記事を執筆していくことが本当の信頼に繋がるのではないかと思いました。

ブログはもちろん、ウェブを主戦場として仕事をしている方にとっては必読の著だと思います。ぜひ読んでみてください~。

 

新しいメディアの教科書 (Kindle Single)

新しいメディアの教科書 (Kindle Single)