備忘録的 本棚ブログ

読んだ本の感想や書評を備忘録的に書いていきます。本棚の様に積み上げていくつもりです。

【114冊目】なぜジブリ映画を僕らは繰り返し見てしまうのか?「コンテンツの秘密 川上量生」

コンテンツの秘密 ぼくがジブリで考えたこと (NHK出版新書)

 

my本棚114冊目はニコニコ動画でおなじみの(株)KADOKAWA・DWANGOの社長、川上量生(のぶお)さんの本です。

 

最近まで知らなかったのですが、川上さんはスタジオジブリ鈴木敏夫さんと出会ったそのままの勢いで見習いプロデューサーとしてジブリに入社しているんですね。

今回の本は、そのジブリに入った著者が鈴木敏夫宮崎駿高畑勲と接する中で、コンテンツとは何か、クリエイターやオリジナリティの定義とは何なのかということを分析した内容になっています。

 

ブログを書いている私の様な人にとって、コンテンツとは記事のことであり、クリエイターとは自分自身のことです。アニメとブログといった違いはあっても、たくさんの学びがありました。

 

 いきなりなんですが、著者はこの本の中でコンテンツというものを、小さな客観的情報量によって大きな主観的情報量を表現したものと定義づけています。

客観的情報量も主観的情報量も著者が独自に名付けたものですが、客観的情報量とはアニメの線の本数であるとか、コンピュータの画素数といった、客観的な基準で測れる情報量なのに対し、主観的情報量とは人間の脳が認識している情報量ということになるそうです。

 

例えば、ジブリの「風立ちぬ」という映画に出てくる飛行機は、現実世界の飛行機の縮尺よりも大きく描かれているそうです。鈴木敏夫さん曰く、宮崎駿さんの頭の中(主観的情報量)では飛行機が実際よりも大きいイメージが出来ていて、それがアニメの中にも反映されているのだとか。ただ、それがかえって見る人にとっては気持ちよく映るのだそうです。

 

つまり、アニメよりも実際の飛行機の写真や映像の方が客観的情報量は多いですが、脳が理解できる主観的情報量はアニメの方が多いのではないかという考え方です。

これを無理やりブログにあてはめて考えるなら、記事の内容が客観的に豊富であることよりも、読み手の主観に訴えるような記事を書いた方が情報量としては多く感じてもらえるということになるのではないでしょうか。

 

さらに、クリエイターが主観的情報(脳の中のイメージ)をどう表現するかがポイントになるとだとすれば、ブログの書き手も、いかに自分の考えたことを文章で他者に伝えていけるかということがカギになってくると思います。

 

なんだか月並みな結論になってしまって申し訳ないです。私のつたない考察は置いておいて、この本は川上さんという優れた経営者によるメディア論、社会論といった内容になっていますので、そういった分野に関わりのある人にはぜひ読んでもらいたいです。 

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