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備忘録的 本棚ブログ

読んだ本の感想や書評を備忘録的に書いていきます。本棚の様に積み上げていくつもりです。

【106冊目】「銃・病原菌・鉄」を読んだらAIに仕事を奪われても平気な気がしてきた

文庫 銃・病原菌・鉄 (上) 1万3000年にわたる人類史の謎 (草思社文庫)

 

久しぶりの更新となってしまいました。本業がバタバタしていたというのもあるんですが、今回紹介するこちらの本を読みこなすのに思いのほか苦労し、更新が遅くなってしまいました(汗)

 

この「銃・病原菌・鉄」という本は2000年1月に翻訳されたものが出版されたのですが、朝日新聞が選ぶゼロ年代の50冊」のベスト1に輝いています。ネットの「読むべき本」や「名著」とかの記事に必ずと言っていいほど出てくる本で、前から読みたいと思っていたのですが、期待以上の内容でした!

 

著者のジャレド・ダイアモンド博士はカリフォルニア大学ロサンゼルス校の教授で生理学者、進化生物学者、生物地理学者。そんな肩書を持つ著者が、とあるニューギニア人から問われた「なぜ欧米人は様々な物質を作りだしてニューギニアに持ち込んだのに対し、ニューギニアは何も物質を作りださなかったのか」という疑問に対して出した回答がこの本のタイトル「銃・病原菌・鉄」となります。

 

正確には、南アメリカ大陸のインカ帝国ユーラシア大陸のスペイン人により征服された主な理由が「銃・病原菌・鉄」の3つにあったことから、約1万3千年前に世界各地で狩猟採集生活を行なっていた人類が、どうして住む場所によって技術進歩に差が出てしまったのかを考察していくというのがこの本の趣旨ということになります。

 

読んでいてなるほど!と思うことばかりでなかなか先に進まず、非常に刺激を受けたのですが、読んだうえで得た教訓みたいなことを書いておきます。

競争が国家や人を成長させる

まずひとつめは適度な競争が進歩や成長を促すということです。

中世の中国は火薬や印刷といった技術のほか、政治制度も発達していて、世界をリードしていました。航海技術にも優れていましたが、政治的な理由で渡航を自ら禁じてしまいます。一方大航海時代を迎えたヨーロッパ諸国のその後の躍進は言うまでもありません。

これは、中国が政治的に統一されていたがために一時的な判断ミスがその後の成長の機会を奪ってしまったのに対し、ヨーロッパが小国家がひしめきあうがために互いに競い合ったり、技術の需要に寛容だったりといった文化が根底にあったのが原因と考えられます。

また、日本もかつて江戸時代に鎖国していた際に、一旦受け入れた銃火器の使用や製造を制限してしまいます。孤立した社会では自ら技術を放棄してしまうことがあるようです。一方でヨーロッパは攻め込まれてしまう恐怖が常にありますから、銃を捨てることなど当然できませんでした。

 

適度な競争の中に身を置くことで、国家も人も自ずと成長するのではないでしょうか。手をつないで走れば順位は着かず平和にも見えますが、それは勝ち負けがないというより全員が負けている状態なのかもしれません。

 

 AIが人類を新たなステージの生活に移行させるかも

前段にも書きましたが、約1万3千年前まで人類は長い間狩猟採集生活を行なってきましたが、植物や家畜といった食料を生産する生活にシフトすることにより、技術を大きく進歩させることができました。

これは、狩猟に追われることのない生活が可能になったことにより、他のことに従事できるようになったためです。しだいに人口も増え、政治的にも発展していきました。

 

そして今、人間の代わりにAIなどコンピュータが仕事を行なってくれる時代が訪れつつあります。AIに仕事が奪われるといった記事もよく目にしますし私も恐れていましたが、もしかすると人類は再び他のことに従事できるチャンスを手にしつつあるのではと気付いたのがふたつめの教訓です。

今まで仕事と考えられていなかったものが仕事になりえます。ブロガーやユーチューバーなんてのはまだ序の口で、もっと色んな可能性がこの先にはあるかもしれないと思って、この本を読みながらひとりでワクワクしてしまいましたw

 

本を読むってことは、思考を深めていくってこと

私がこの本を読むのに時間がかかってしまうのは、この本がどんどん深いところまで考察をしていくからです。

なぜニューギニア人は物質を作り出さなかったのか→なぜ物質をつくる国とつくらない国があるのか→なぜ元々同じ種族である人間が住む場所によりこんなにも技術に差があるのか…

疑問が疑問を呼び、それに対する答えも多岐に渡ります。おそらくこの答えの羅列だけを読んでも得られるものは少ないでしょう。本当にこの本が優れているのは著者のジャレド・ダイアモンド博士の思考の深さが読み取れるというところにあるのではないでしょうか。

 

出版されたのは20年近く前になりますが、思考の深さが古びてしまうことはないでしょう。上下巻に分かれていて長編ですから読むのは大変ですが、それ以上に得るものは大きいと思いますので、ぜひ手に取ってみてください!

 

文庫 銃・病原菌・鉄 (上) 1万3000年にわたる人類史の謎 (草思社文庫)
 

 kindle版もあります 

銃・病原菌・鉄 上巻

銃・病原菌・鉄 上巻