備忘録的 本棚ブログ

読んだ本の感想や書評を備忘録的に書いていきます。本棚の様に積み上げていくつもりです。

【105冊目】戦略と戦術の違いは「銀河英雄伝説6 飛翔篇」を読めばわかる

銀河英雄伝説〈6〉飛翔篇 (創元SF文庫)

my本棚105冊目は月に一度のお楽しみ(?)になってきた「銀河英雄伝説」の第6巻です。ようやくこの物語も後半に入ってきました。

これまではラインハルトとヤンという2人の主人公を軸にストーリーが進んできましたが、この6巻からは3人目の主人公としてヤンの被保護者にあたっていたユリアンが加わったという感じがします。また、これまで謎の存在だった地球と地球教の存在感も増してきて、物語がさらに深まっています。

 

<あらすじ>

ついに銀河帝国皇帝へと昇りつめ、今や至尊の冠を戴く存在となったラインハルト。即位直後に彼を襲った暗殺事件が、各処で暗躍する<地球教団>の差し金であることを知り、彼らの聖地たる地球に軍を派遣する。一方ヤンは、退役ののち、副官と結婚して悠々と生活を楽しんでいたが、己の周囲に監視網が張り巡らされていることに気がつく。不穏な空気が漂う中、調査のため地球へと潜入したユリアンたちを待ち受けていたのは、地球教団による監禁と、帝国軍の大艦隊だった。そしてヤンの不安を裏付けるように、彼の元に黒服に身を包んだ男たちが訪れる。一度は平穏を迎えたかに見えた銀河は、再び動乱に呑まれようとしていた……。

 

5巻にて直接対決の決着がついたラインハルトとヤンですが、その後の立ち位置が対照的です。

皇帝に即位して栄華をきわめたかに見えるラインハルトですが、様々な思惑を抱える部下に囲まれて孤独さが増しているように描かれています。一方で望んでいた退役を果たして自由になったかに見えるヤンですが、かつての部下に必要とされ、再び戦乱に身を投じることになります。立場は全く違えど、何か大きな動きに巻き込まれていくのは両者とも通じています。

 

また、しばしば文中で戦略と戦術について論じられるのがこの作品の特徴だと思うのですが、今回はその2つについて端的に本質をついた一節がありました。

“戦略とは状況をつくる技術。戦術とは状況を利用する技術”という定義にしたがえば、この夜のシェーンコップとアッテンボローは、一流の戦術家として行動したといえよう。

 この本だけでなく色々なところで戦略と戦術の違いについては語られていると思いますが、一言でこれだけ明解に違いを示した表現もないんじゃないでしょうか。この言葉自体を作者がどこかから引っぱってきたのかどうかはわかりませんが、もし作者本人がこの定義を思いついたのならさすがのセンスです。

 

それでは、また来月7巻の記事を書きたいと思います~。

 

銀河英雄伝説〈6〉飛翔篇 (創元SF文庫)

銀河英雄伝説〈6〉飛翔篇 (創元SF文庫)

 

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銀河英雄伝説6 飛翔篇 (らいとすたっふ文庫)

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