備忘録的 本棚ブログ

読んだ本の感想や書評を備忘録的に書いていきます。本棚の様に積み上げていくつもりです。

見えなかったものが見えてくる「ビジネスマンのための『行動観察』入門 松波晴人」

ビジネスマンのための「行動観察」入門 (講談社現代新書)

 

my本棚94冊目は行動観察研究所の所長である松波晴人さんが書いた「行動観察」についての本です。

よく趣味が人間観察です!という方がいらっしゃいますが、簡単に言ってしまえばその人間観察を高いレベルで行ない、ビジネスとして成立させているのが「行動観察」です。

著者は行動観察を行なうことで企業や団体などに「付加価値の提案」と「生産性の向上」を提供しています。

観察するだけでそんなことが可能なのかと思ってしまいますが、人間工学や心理学をもとに分析を行なうことで、潜在的なニーズや見えていない課題を洗い出すのです。本書にはその具体的な事例が紹介されています。

 

著者が行動観察を行なったクライアントは多岐に渡ります。オーソドックスな所ではイベント会場や営業マン、残業の多いオフィス、飲食店など。それ以外にもワーキングマザーやスーパー銭湯、書店といった人やお店の課題を見つけ出し、改善していくのです。

 

その中でも私が注目したのは訪問販売の営業活動に対する調査です。ある企業から調査を依頼された著者は、成績優秀な販売員とそうでない販売員について回り、行動観察を行ないました。

そこで得られたポイントは

  1. ファーストコンタクトが非常に大事
  2. 販売員よりお客さんの方が話している時間が長い
  3. お客さんごとにニーズの合う提案ができる
  4. お客さんに親切をする

となっています。文字で単純にまとめてしまうと当たり前に感じてしまうかもしれませんが、これらのポイントをきちんと行なえている人は少ないのでしょう。

実際、1のファーストコンタクトは心理学的に根拠があるそうですし、2や4の行動も、商品を売ろうとするよりも信頼を得ることが結果に繋がるのだと思います。

 

また、優れた販売員の例のひとつとして、商品説明を仕様面でするのではなく、実際の生活面でするというのが挙げられていました。「この車は200馬力です」と言われるよりも「この車は加速がよいので、高速を使うことの多い○○さんなら、追い越しがスムーズになりますよ」と言われた方が断然説明がスッと入ってきますよね。

これはポイントの3にあたりますが、ポイント2の会話ができているからそういった提案ができるのだと思います。

 

こんな感じで、行動観察を行なった事例が豊富に書かれていると共に、実践的な改善内容も書かれていますので、どういった職種の方でも参考になる部分がありそうです。ぜひ読んでみて下さい~。

ビジネスマンのための「行動観察」入門 (講談社現代新書)

ビジネスマンのための「行動観察」入門 (講談社現代新書)