「ニュースの“なぜ?”は世界史に学べ 茂木誠」を読んだら複雑な国家間の思惑がわかってきた
my本棚77冊目は世界史の塾講師、茂木誠さんの本です。
iPadを駆使した独自の資格的授業が支持を集めているとのことで、こちらの本もまるで授業を聞いているかのように、わかりやすく世界史を解説してくれます。
最近、池上彰・佐藤優の対談3部作についての記事を書きましたが、世界史はマイブームとなっています。
茂木誠さんについては、少し前にポッドキャストの「ラジオ版 学問ノススメ」というのを聴いておりまして、その番組の中でゲストとして世界史や地政学について解説されていました。それぞれの国の立場になった視点で思惑を語ってくれますので、ニュースで聞く事象が「なぜ?」起こっているのかがわかります。
今回の本のタイトルの副題は「日本人が知らない100の疑問」です。先ほど書いたように、日本人として日本に住んでいると、外国の事情や考え方を理解するのは難しいですよね。その事情や考え方のベースになる宗教や歴史、地理的状況を理解することで、今起こっていることの説明ができるということです。
副題通り本の構成は100の疑問とその解説が100章に分かれていますが、大別すると、
・ヨーロッパの諸問題(ロシアvsウクライナ、難民問題など)
・中東の諸問題(ISとは、イスラム教や民族問題)
・アメリカと中国(米国のユダヤ人、日米&日中関係)
となっています。
本を読んで、(昔授業で習ったけど覚えていないだけかも知れませんが)そうだったのかーと思ったのは、なぜロシアと中国には民主主義が根付かないのかという点です。西ヨーロッパには王様と教皇がいて、政治権力と宗教的権威が分離(政教分離)していたのに対し、ロシアは東ヨーロッパの政教一致体制の流れを汲んでいる影響で、王様(皇帝)=神となってしまい、誰も逆らうことができない独裁体制になってしまうのです。
中国も同じく、皇帝が神(天)から選ばれた者(=天子)であるとして、神の名の下に独裁体制を敷きます。しかし絶対的な実力がないと権力を保つことができず、革命が起こってまた別の者が天子となって権力を握るという繰り返しになるようです。中国と日本が相容れない原因も政教一致と分離(←日本も天皇と将軍がいるのでこちら側)の考え方の違いにあるようです。
また、沖縄の基地問題に関する茂木さんの見立てですが、中国としては沖縄に基地が無い方が太平洋に進出できるチャンスが増えるため、中国は日本の反米感情をあおっているそうです。実際、フィリピンでは米軍が撤退した途端に中国が近くの島に基地を作ってしまい慌てている状況なのだとか。米軍の沖縄集中は何とかしたい課題ではありますが、いたずらな批判は中国の思うつぼかもしれません。
しかし、本を一度読んだだけでは理解できないのは中東問題です。イスラム教の派閥や国境と民族の乖離(植民地化の影響で国境線が民族分布と一致していない)などの問題が複雑で、どことどこがなぜ対立しているのかがわからなくなってきます…。
ただ、これからも次々に世界情勢は変わっていくと思いますから、いつでも手に取れる所にこの本を置いておきたいと思います!
ニュースの"なぜ?"は世界史に学べ 日本人が知らない100の疑問 (SB新書)
- 作者: 茂木誠
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