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備忘録的 本棚ブログ

読んだ本の感想や書評を備忘録的に書いていきます。本棚の様に積み上げていくつもりです。

トランプが大統領に選ばれたので「日本人のための集団的自衛権入門 石破茂」を読んでみた

日本人のための「集団的自衛権」入門 (新潮新書 558)

 

my本棚73冊目は防衛庁長官防衛大臣農林水産大臣などを歴任した自民党の政治家であり、国防のプロとも言える石破茂さんの本です。

池上彰さんと佐藤優さんの本を読んだりニュースを見聞きする中で、だんだんと国際情勢にも興味が沸いてきました。そこへ大方の予想を覆すトランプの大統領選勝利ときたものですから、ますます今後の情勢が気になってきます。

 

トランプは米軍の日本撤退を主張しています。莫大な費用をかけてまで、「世界の警察」として日本に軍を置いて中国といったライバル国を抑制するメリットがあるのかどうかという議論になっています。

アメリカが守ってくれると楽観的に考えられるのも限界に来ているのかもしれません。そこで、石破さんによる「集団的自衛権」の解説を読んでみることにしました。

 

集団的自衛権という言葉は近年ニュースでよく聞いていましたが、その行使を巡っての議論は一体何が論点なのかちゃんと把握できている人は少ないのではないでしょうか。

私ももちろんその中の一人だったので、理解を深めようとこの本を手に取りました。なんだか日本が再び戦争を起こすのではないかと不安になる方も多いと思いますが、むしろ戦争を起こさないために、「自衛」が必要になるようです。

 

この本は集団的自衛権の行使容認の必要性を懇切丁寧に説明してくれます。反対意見もありますが、それらに対し論理的に反論してくれています。

ただ、丁寧に書かれているとは言えそれでもとっつきにくく感じる方もいると思うので、かいつまんで要約してみます。

 

①自分(日本)のことばかり考えないで、友達(同盟国、主にアメリカ)のことも考えよう
自分が攻撃された場合は守ってほしいけど、友達が攻撃されても守ることはできません。これでは信頼関係を築くことはできませんよね。先にも書いた通り、アメリカは日本から身を引いてしまう可能性が高まってきています。より良い関係にしていくために、集団的自衛権が必要なのです。

 

②戦争を起こしたいからではなく、戦争を起こさないために必要
集団的自衛権を認めると戦争が起こるのではと心配する人がいます。しかし、特に先進国においては、自ら戦争を仕掛けることは人が死に、お金もかかり、非難の嵐を浴びるなどといった面もあり、メリットがないと考えられます。つまり戦争を起こさないための「抑止力」として必要なのです。
著者の意見を引用してみましょう。

世界の平和と安全を脅かすような存在に対して、皆で協力して行動する、という集団安全保障の考えに基づいた行動のほうが今後増えていくものと考えられます。

 ①ともつながりますが、自分勝手な主張はせず、国際的な視点から協調を考えていかねばなりません。

 

憲法第九条があるから平和、といった思い込みは危険
九条がある平和な国だから戦争が起きていないというのは、日本側の勝手な思い込みです。アメリカとの同盟関係や自衛隊の防衛力があってこそのことなので、今後同盟関係が崩れたり、防衛力が弱まったりすれば、九条があってもなくても戦争を仕掛けられる可能性は高まるでしょう。
また、徴兵制につながると主張する人もいますが、これも思い込みのようです。自衛官の志願者は数多く、競争率は5倍超とのことですから、既になりたい人が余っています。さらに、人材育成に時間とお金がかかるので、なりたくない人まで育てる余裕はなさそうです。
自分の子供が戦争に行かされる…と心配するだけ無駄だということですね。

 

本当は反対派の方が書いた本も読むべきかもしれませんが、少なくとも1冊読むだけでもよくわからないニュースに対する理解は深まります。日本の未来を守るためにも、ぜひ多くの方に読んでいただきたいと思います。

 

日本人のための「集団的自衛権」入門 (新潮新書 558)

日本人のための「集団的自衛権」入門 (新潮新書 558)

 

 

<追記>
この本の発売後、2016年3月29日には集団的自衛権を行使できるようにする「安全保障関連法」が施行されています。しかし今後もその行使の適用範囲を巡っては、議論が重ねられていくでしょう。