「新・戦争論 池上彰・佐藤優」を読んで歴史と国際情勢を学ぼう
my本棚69冊目は日本が誇る二人のインテリジェンス、池上彰さんと佐藤優さんの対談本です。
佐藤さんの世界史に関する本を以前取り上げましたが、今回の本は似て非なる内容で、現代の世界情勢について詳しく書かれています。
2014年に出版された本ですから、少し世界の情勢もこの本に書かれていることからは進んではいますが、世界中で起きている問題の根幹が何なのかを、お二人が一般人にもわかりやすく丁寧に解説してくれています。長々と事情説明が書き連ねてあるのではなく、会話形式なので読みやすくなっていますからおススメです。
この本のタイトル「新・戦争論」は、かつてヨーロッパにあったプロイセンという王国の軍人であるクラウセヴィッツという人により1832年に刊行された「戦争論」という名著から来ているそうです。
「戦争論」のポイントは戦争とは政治の延長であるとのことですが、現代も戦争と政治の境界線があいまいになってきているのだとか。核兵器が戦争に対する抑止力になると言われた時代は終わり、核を保有しつつも通常の戦争は依然として行なわれていて、新たな戦争の時代に突入していると言えるのです。
そんな危うい時代に日本が巻き込まれないために、世界史や世界情勢に対する知識が必要だと両氏は主張します。この本で主に解説されているのは
・ウクライナを主軸とした東欧の闇
・シリアやサウジアラビア、そしてISといった中東の混乱
・北朝鮮と拉致問題、中国と尖閣問題
・アメリカの今後
といった所です。アメリカの次期大統領候補はヒラリーかという会話が出てきますが、まさか2年前にトランプがその対立候補として残るとは両氏も予測できなかったでしょうねw
あとがきの中で、佐藤さんは以下のように言っています。
これからの時代を生き抜くために、個人としては、嫌な時代を嫌な時代だと認識できる耐性を身につける必要がある。そのために、通事性においては、歴史を知り、共時性においては、国際情勢を知ること。知識において代理経験をして、嫌な時代に嫌なことがたくさんある、というのをよく知っておくことです。
気が付いたらいつの間にか戦争に巻き込まれていた、なんてことが絶対にないように、我々は歴史に学んで自分をしっかりと持っておく必要があります。
反射的に平和を叫ぶのではなく、まずはしっかりと歴史と国際情勢を学ばなくてはなりません。そのための第一歩として、この本をぜひ読んでみて下さい。
<追記>
ちなみに、この本の副題「僕らのインテリジェンスの磨き方」として、お二人の情報収集の方法が本の後半に語られています。ただ、内容としてはざっくりしたものなので、その辺りが気になる方は、私が先日記事にした「読書の技法」、記事にはしてませんが以前に読んだ「新聞勉強術」という本がおすすめです~。
<さらに追記>
両氏の対談本第2弾についても感想書きました!