備忘録的 本棚ブログ

読んだ本の感想や書評を備忘録的に書いていきます。本棚の様に積み上げていくつもりです。

「使える!確率的思考 小島寛之」を読んだら驚くほど学びがありました

使える!確率的思考 (ちくま新書)

 

 

my本棚63冊目は 経済学者で数学エッセイストの小島寛之さんの本です。
確率と聞いただけで拒否反応が出てしまう数学ギライな方も中にはいると思いますが、こちらの本は確率に関する理論や考え方が、世の中でどの様に使われているかが紹介されているのでイメージがわきやすく、とっつきやすい内容になっています。

 

出版されたのは2005年と少々前ですが、考え方自体は古くはありません。むしろ、今からでも知っておいた方が間違いなく得をするのでおすすめです。

特に(私がまさにそうですが)株や投資信託、FXなど投資をかじっているけど難しいことはわからん!みたいな方は、投資の世界では当たり前に使われている理論が紹介されているので、理解を深めることができますよ。

 

今回紹介する本は、世の中にある様々な出来事を数学や確率の視点からひも解いてくれています。

詳しくはぜひ本書を読んでいただきたいのですが、そうだったのか!と思わされた理論、考え方がたくさんありました。

 

例えば、

「100回動かすとそのうち10回は故障してしまう」機械があるとして、
「次にこの機械が故障するのは10回後」と考えることができます。
上の考え方を「期待値」と呼びます。

ただし、「10回より前に機械が故障する」のと「10回より後に機械が故障する」可能性は5分5分かというとそうではなくて、「10回より前」の方が確率が高いのです。

これは、100回動かしても1000回動かしても故障しない確率もわずかながら存在するからですが、この確率に対する知識がないと、10回よりも頻繁に故障が起こっていると錯覚してしまいます。

実際に割り出された確率と日常感覚にはズレがあるという話です。

 

他にも興味深かったのは、「結果を観測できない」選択には偏りがあるという話です。
例えば人事担当者が面接した二人の中から一人選ばなければいけない時、選ばなかった人を採用した結果を知ることはできません。

そのため、人事側は思い切った採用をすることができず、保守的な結果が多くなってしまいます。(もちろん試用期間とかもありますが、例として)

 

これは、企業の不祥事や芸能人のスキャンダルについても同じ考え方が当てはまります。不祥事に対しては、それを隠したりなくしたりする対策が必要ですが、そもそも不祥事が明るみにならないのならがそういった対策の必要はありません。

だからと言って対策を怠るといざ不祥事がバレた時に取り返しのつかないことになるわけですから、対策と不祥事のリスクリターンをきちんと考えなければなりません。

不祥事がバレるかどうかは観測できないので、対策を怠る偏った人も出てくるということでしょう。

 

そして、物事をうまく進めるために真似をするという手段を数学的に定式化した事例ベース意思決定という理論も紹介されています。

世の中にある色んな現象が数学・確率で表せるなら、それを知ることで柔軟な対処ができると思います。
より良く生きていくために、ぜひ読んでみて下さい。

 

使える!確率的思考 (ちくま新書)

使える!確率的思考 (ちくま新書)