備忘録的 本棚ブログ

読んだ本の感想や書評を備忘録的に書いていきます。本棚の様に積み上げていくつもりです。

「レイヤー化する世界 佐々木俊尚」を読んだらアマゾンと一緒に本屋と戦っていることに気付いた

 

レイヤー化する世界―テクノロジーとの共犯関係が始まる (NHK出版新書 410)

 

my本棚51冊目は元毎日新聞の事件記者でジャーナリストの佐々木俊尚さんの本です。
佐々木さんと言えばツイッタ―で様々な有用な記事をシェアするキュレーションを行ない、人気を博しています。

 

タイトルのレイヤーとは「重ね合わせているもの」という意味で、これから(既にもう)世界の枠組みは変わると著者は主張しています。

枠組みの変化をまず中世、近代と振り返り、そして現代の民主主義と国民国家の体制が崩壊し、アップル・グーグル・アマゾンといった超国籍企業と私たちひとり一人がレイヤー化しながら共生する未来が示唆されています。

 

最近読んだ以下の本がぎゅっと詰まったような1冊になっています。さすがキュレーターですね。

「第四次産業革命 西村康稔」を読めば未来がわかる

今世界で何か起こっているのか理解するには 「世界史の極意 佐藤優」

周りからの評価があれば「僕たちは就職しなくてもいいのかもしれない 岡田斗司夫」

 

グローバル化という言葉を聞くようになって久しいですが、今回紹介する本を読めばグローバル化が進んだ先の世界を見通すことができます!

 

本書では今後世界がどうなっていくのか解説するために、まずは現代の世界社会がどの様に形成されていったのかを振り返っています。

今でこそ世界の中心は欧米という雰囲気がありますが、中世においてはヨーロッパは辺境の地でしかなく、中心は今で言う東欧~中東~アジアでした。
アメリカ大陸が無いものと考えられてきた中世では、地理的にヨーロッパは「外側」という認識だったのですね。

そのためヨーロッパは大西洋に飛び出し、新たな世界を手に入れます。おのずと地理的にも中心となったヨーロッパは植民地化を進め世界の中心、「内側」に躍り出ます。

 

そして現代にいたるまで、世界は大小いくつもの国に分かれ、その国の内側と外側で区別されています。
内側で何かを生産し、外側と売買を行なって内側を成長させていく…そんなモデルを形成していましたが、ここでインターネットという概念が生まれると、内側と外側の境界線があいまいになっていきます。

 

今や企業が国の外側で生産し、外側で売買をするのが当たり前になってきました。これでは内側は成長することができなくなってしまいます。
「内と外」という概念から、インターネットという「場」に、全ての人や物が支配され共生していく時代になってきているのです。

 

例えば音楽も、今はインターネットを通じて世界中の楽曲を聞くことができます。
以前よりも外国の曲を手軽に気軽に聞けるようになりました。
この様に、「音楽」が世界でフラット化していますが、それだけでなく「仕事」や「金」もフラット化していくため、混迷化しています。

 

今後は、インターネットという「場」の上で仕組みを作るアップル・グーグル・アマゾンといった超国籍企業が国の代わりに私たちを管理するようになります。
超国籍企業は私たちの行動というデータを吸い上げて成長していきますが、それにより生活が更に便利になっていく関係が築かれます。
その中で、人は層状に各々の役割を担って(レイヤー化して)、社会に関わっていくようになるのです。

 

…と概要を書き連ねてしまいましたが、本書を読むと中世の世界史や現代への理解が深まり、今後どうやって生きていくかのヒントがつかめます。

私は、ブログというインターネットのひとつの場を通して、書評を行なうレイヤーに属していると解釈できます。
今は全く成り立っていませんが、ブログに貼ったリンクで読者の方に本を買って頂ければ、私もお金を得ることができます。
気付かないうちに、私は町の本屋さんと同じ舞台に立っているとも言えるんですよね。

 

ぜひこの本を読んで、自分がいるレイヤーを認識して見て下さい。