備忘録的 本棚ブログ

読んだ本の感想や書評を備忘録的に書いていきます。本棚の様に積み上げていくつもりです。

今世界で何か起こっているのか理解するには 「世界史の極意 佐藤優」

 

世界史の極意 (NHK出版新書 451)

 

my本棚45冊目は元外務省主任分析官で作家の佐藤優さんの本です。
本屋さんに行って新刊・話題の本コーナーに行くと必ず氏の本が並べられている印象があります。
それだけ次々と本をリリースし、それがどれも内容の深くて新しいものであるかを表しているということですよね。

著者に関しては以下の本を読んでもらえれば(結構ヘビー内容ですが)どんな方かわかるかと思います。

国家の罠―外務省のラスプーチンと呼ばれて (新潮文庫)

ロシア外交、北方領土問題を巡って起こった鈴木宗男事件に巻き込まれた著者がその真相について語った本です。
あまりにも有能すぎる著者がその有能さゆえに逮捕されてしまったことで、どれだけ国益を損なったかがわかります。

 

そんな著者が出所後に作家として活躍されていることで、日本の知能指数向上にどれだけ貢献していることかわかりません。
今回の本は、日本屈指の識者である佐藤優さんが世界史・宗教史をひも解くことで現代の国際情勢を読み解くという構成になっています。

 

様々な思惑が混在する外交の世界に長く身を置いていた著者は、世界史がビジネスパーソンにとって強力な武器になると言っています。

現在の国際情勢がどのような歴史の積み重ねの上に成立しているのかを正確に認識し、状況を見通す必要がある。若いビジネスパーソンには、過去に起きたことのアナロジー(類比)によって、現在の出来事を考えるセンスが必要なのです。

 こういう考え方を学生の時に知っていればもうちょっと頑張って勉強したかもな…と思わせられる主張ですね。

歴史は繰り返すとよく言いますが、その歴史自体をちゃんと認識していなければ、いくら繰り返していても何が起こっているのか把握することはできませんよね。

 

著者はこの本の中で、現代は「新・帝国主義」の時代に突入していると主張しています。
「旧・帝国主義」とは1870年代から第一次世界大戦(1914年)の終わりまでとしていて、簡単に言うと植民地化と富の集中の時代です。

現代も、植民地化はコストがかかるため今の時代にはそぐわないですが、例えばスコットランド独立運動や、沖縄の基地問題などは、本土(イギリス・日本)が一定の地域を搾取している現状があるという事で、帝国主義の時代と似た現象があるわけです。

 

また、帝国主義の時代は資本主義がグローバル化していくため富が集中し、格差が拡大します。その格差から来る社会不安を国家は抑えようと、ナショナリズムの精神が広がります。
これも、今の日本が繰り返しつつあることです。

旧・帝国主義第二次世界大戦共産主義の台頭で終焉を迎えましたが、新・帝国主義はどこへ向かうのか。戦争を回避するには…。

 

あとは本書を読んでみて下さい。というか、私の能力ではまだこの本を読みとおすことくらいが関の山で、細かく分析して書評することなどできません(汗)

ですが、世界史を知ることで、現代の国際情勢や政治、経済のことをもっと深く理解することができると思います。
ぜひ、日本屈指の識者である佐藤さんの本を読んでみて下さい~!

 

世界史の極意 (NHK出版新書 451)

世界史の極意 (NHK出版新書 451)