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備忘録的 本棚ブログ

読んだ本の感想や書評を備忘録的に書いていきます。本棚の様に積み上げていくつもりです。

30代以下の人も日本航空の事件をちゃんと知っておくべきだ 「沈まぬ太陽 山崎豊子」

小説

 

沈まぬ太陽 文庫 全5巻 完結セット (新潮文庫) [文庫] [Jan 01, 2002] [文庫] [Jan 01, 2002]

my本棚27冊目は、社会派小説家の大家、山崎豊子の代表作品「沈まぬ太陽」です。
著者の事をわざわざ私が説明する事もないと思いますが、その取材の綿密さから描かれる重厚な内容には圧倒されるばかりです。

全5巻と長編小説で、正直ある程度本に慣れた方でないと読み切れるかどうかという程のボリュームです。ただラストは本当に引き込まれ、一気に読み切ってしまいました。

 

本書は日本航空JAL)の腐敗と1985年に起きた日本航空123便墜落事故を扱った小説です。
小説という形を取っていますが、事故の遺族の方が一部実名で出てくるなど、膨大な取材をした上での出来事を描いています。

墜落事故の事を知っておきたいという意思もありましたが、この本は本当に近代史を知る上でも読んでおいた方が良い本だと思います。

 本書は5冊3部構成となっています。

1~2巻が1部アフリカ編(主人公の日本航空社員、恩地が組合員として会社に正当な反発をしたがゆえに、不当な外国への人事異動を命じられる)

3巻が2部墜落事故編(事故の詳細な様子、遺族と会社の対応)

4~5巻が3部会長室編(事故の対応や会社建て直しのため、外から会長が迎えられ、恩地と共に会社の腐敗に立ち向かう)

以上が概要ですが、特に3巻以降は実際に世の中で起こって当時の人が見聞きした出来事をベースに話が進められます。

墜落が起こるまでのパイロットと管制官のやり取りが詳細に書かれているほか、遺族のやり場のない怒り、悲しみが描かれ、空前絶後の飛行機事故の様子を追体験できます。

結局は日本航空のずさんな経営体制が現場に歪みを生じさせ起こったしまった事故。
こんな事は2度と起きてはならないですから、誰もが知っておかねばならない歴史なのではないでしょうか。

 

そして4~5巻の会長室編は、当時カネボウの会長だった伊藤淳二が、中曽根康弘総理大臣の要請で、日本航空の会長(最初は副会長)に就任し再建を計る様子が「小説」として書かれています。

信念を持って再建を計る会長と、金と利権にまみれた社員らの攻防…。
救いのない世界が綴られています。どこまでが事実なのか私には判断できませんが、こういった人間の黒い欲望を、小説を通して見ておくのも良いと思います。

 

また、伊藤淳二を会長に迎えるにあたり、伊藤忠商事の会長、瀬島龍三をモチーフにした人物も登場するのですが、山崎豊子は「不毛地帯」という小説でも瀬島龍三をベースにした物語を書いています。

不毛地帯 全5巻完結セット (新潮文庫)

まだこの本は読んでいないので、ちょっと間を空けて(山崎さんの本は読むのに体力がいるので…汗)読んで、また感想を書きたいと思います!