備忘録的 本棚ブログ

読んだ本の感想や書評を備忘録的に書いていきます。本棚の様に積み上げていくつもりです。

【112冊目】壁にぶつかったら「憂鬱でなければ、仕事じゃない 見城徹 藤田晋」を読め

憂鬱でなければ、仕事じゃない

 

my本棚112冊目は、出版社の幻冬舎の社長である見城徹さんと、AbemaTVなどでおなじみのサイバーエージェントの社長である藤田晋さんの共著です。

 

タイトルになっている「憂鬱でなければ、仕事じゃない」という言葉は見城さん自身の言葉であり、(表紙の文字も自筆だそうです)この言葉を聞いた藤田さんがツイッタ―に書きこむと、驚くほどの反響があったそうです。私もこのところちょっと本業の方で壁にぶつかっている感覚があり、この本のタイトルにひかれて手に取りました。

 

タイトルに留まらず、見城さんの熱い気持ちや言葉が綴られており、それに対応してネット社会を切り拓いてきた藤田さんの実体験に基づいた解説が加えられています。

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【111冊目】経営をV字回復させるアイデアを生み出すには 「USJのジェットコースターはなぜ後ろ向きに走ったのか? 森岡毅」

USJのジェットコースターはなぜ後ろ向きに走ったのか? (角川文庫)

 

my本棚111冊目はマーケティングの専門家としてユニバーサル・スタジオ・ジャパンの経営に貢献した森岡毅さんの本です。

ユニバーサル・スタジオ・ジャパンは2001年にオープンし、世界最速で来場者数が1000万人を超えるなど華々しいデビューを飾りましたが、その後は低迷…。そんな時にスカウトされた著者は2010年からの3年間で業績をV字回復させます。この本の出版後もさらに来場者数は増えていますね。

2010年度 約750万人
2012年度 約975万人
2014年度 約1270万人
2016年度 約1460万人

 

なぜ私がこの本を手に取ったのかというと、当ブログの人気記事にランクインしている岡田斗司夫さんがニコ生で紹介していたからです。

www.nicovideo.jp

 

窮地に陥っていたUSJを救ったのは、著者の森岡さんの奇抜なアイデアだと言われています。ただご本人は自身をクリエイティブな人間だとは思ってはいなく、独自の発想法でアイデアを生み出していると主張しています。この本にはUSJを立て直した3年間の軌跡とその発想法が綴られています。

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【110冊目】「人口と日本経済 吉川洋」を読んだら戦後の高度経済成長のカラクリがわかりました

人口と日本経済 - 長寿、イノベーション、経済成長 (中公新書)

 

my本棚110冊目は経済学者で東京大学名誉教授の吉川洋さんの本です。
去年から今年にかけてベストセラーになっていて書店に入ると必ず見かける本でしたが、ようやく読むことができました。

 

少子化による人口減少が警鐘されて久しいですが、それに対する政策なども目立って見られず、経済的な日本の衰退が既定路線となっています。ですが、そんな悲観的な未来予測を著者はきっぱりと否定しています。

 

人口が少なくなれば働き手が少なくなるわけだから成長が鈍化する…と単純に考えてしまいがちですが、歴史やデータを振り返ってみるとそうではないようです。人口よりもイノベーションこそが経済を成長させると著者は主張しています。

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【109冊目】どのタイプの頭痛なのかハッキリさせることが治療への近道「頭痛をスッキリ治す本 寺本純」

頭痛をスッキリ治す本 いちばん多い頭痛=緊張型頭痛のすべて (健康ライブラリー)

 

my本棚109冊目は頭痛診療の名医、寺本純さんによる本です。
当ブログではあまり扱わない様なジャンルですが、何を隠そう私は20歳を過ぎたあたりから慢性的な頭痛に悩まされていまして、何か対処できることはないかなと思い、こちらの本を手に取りました。

 

頭痛についてネットで調べてみると、頭痛には緊張型頭痛と片頭痛群発頭痛の3種類があって、それぞれ傾向などが書いてあるんですが、イマイチ自分がどれに当てはまっているかわからなかったんですよね。

 

こちらの本はその3種類の中で最も人数が多い緊張型頭痛について主に書かれています。ただ、緊張型頭痛の中にもまだ分類があることを私は初めて知りました。

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【108冊目】これ一冊で最先端の知見が得られる「人類の未来 吉成真由美」

人類の未来―AI、経済、民主主義 (NHK出版新書 513)

 

 my本棚108冊目はサイエンスライター吉成真由美さんによる世界屈指の知識人のインタビュー本です。

以前にも当ブログで吉成さんの「知の逆転」を紹介しましたが、今回の本は氏のインタビュー本の第三弾ということになります。

(余談ですが…3年前に書いた自分のブログを読んでみると、記事の質も量も大したことなくて恥ずかしいですね。自分が成長していることの裏返しという意味では嬉しくもありますが。)

 

今回の本では各分野の泰斗であるインタビュイーの方々に、AIや経済、民主主義、気候変動など、科学から政治のことまで幅広く取材したことがまとめられています。

その中で、インタビュイーにより意見は必ずしも一致していません。ただ、それゆえ今後の未来を見通す事がいかに難しいかを感じさせられます。未来のことがいつも気になっている私としては、大変勉強になる1冊でした。

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【107冊目】騎士団長殺しを読んだなら「みみずくは黄昏に飛びたつ 川上未映子・村上春樹」も読んでおこう

みみずくは黄昏に飛びたつ

 

my本棚107冊目は作家の川上未映子さんによる村上春樹さんのインタビュー本です。7年ぶりの長編小説となる騎士団長殺しが出版されたばかりですが、それを中心とした村上春樹さんの思いや言葉が綴られています。

このインタビューには騎士団長殺しの内容もたくさん出てくるので、まだ読んでいないという方は注意が必要です。ただ、例え読んでいなかったとしても、村上さんの考えや主張を深い所まで知ることができますから、川上さんのことは好きだけど村上春樹は読んでこなかったという人にもおすすめですよ。

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【106冊目】「銃・病原菌・鉄」を読んだらAIに仕事を奪われても平気な気がしてきた

文庫 銃・病原菌・鉄 (上) 1万3000年にわたる人類史の謎 (草思社文庫)

 

久しぶりの更新となってしまいました。本業がバタバタしていたというのもあるんですが、今回紹介するこちらの本を読みこなすのに思いのほか苦労し、更新が遅くなってしまいました(汗)

 

この「銃・病原菌・鉄」という本は2000年1月に翻訳されたものが出版されたのですが、朝日新聞が選ぶゼロ年代の50冊」のベスト1に輝いています。ネットの「読むべき本」や「名著」とかの記事に必ずと言っていいほど出てくる本で、前から読みたいと思っていたのですが、期待以上の内容でした!

 

著者のジャレド・ダイアモンド博士はカリフォルニア大学ロサンゼルス校の教授で生理学者、進化生物学者、生物地理学者。そんな肩書を持つ著者が、とあるニューギニア人から問われた「なぜ欧米人は様々な物質を作りだしてニューギニアに持ち込んだのに対し、ニューギニアは何も物質を作りださなかったのか」という疑問に対して出した回答がこの本のタイトル「銃・病原菌・鉄」となります。

 

正確には、南アメリカ大陸のインカ帝国ユーラシア大陸のスペイン人により征服された主な理由が「銃・病原菌・鉄」の3つにあったことから、約1万3千年前に世界各地で狩猟採集生活を行なっていた人類が、どうして住む場所によって技術進歩に差が出てしまったのかを考察していくというのがこの本の趣旨ということになります。

 

読んでいてなるほど!と思うことばかりでなかなか先に進まず、非常に刺激を受けたのですが、読んだうえで得た教訓みたいなことを書いておきます。

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